先日、ESXi上ですでに仮想化されているサーバー(VM)のESXi間の移設方法をご紹介しました。
この方法はVMの移設方法ですので当然ながらまだ仮想化されていない物理サーバーを仮想化することはできません。
しかし、VMwareには物理サーバーの構成を自動で認識し、VMのイメージへ変換するVMware vCenter Converter Standaloneというツールが無償公開されており、簡単にサーバー仮想化を行うことができます。
物理サーバー(Physical server)から仮想サーバー(Virtual Server)への移設はその頭文字を取ってP2Vと呼びます。
VMware vCenter Converter Standaloneを用いたP2Vの方法
事前準備
- VMware vCenter Converter StandaloneはWindows PCもしくはWindows Server上で動作しますのでWindowsを用意します。
- VMware vCenter Converter StandaloneのダウンロードのためにVMwareのアカウントが必要になりますのでこちらのページからアカウントを作成しておいてください。
- 移設したいサーバーが外部からアクセスなどが無いようにwebサーバーやアプリケーションなどを終了させておきます。
VMware vCenter Converter Standaloneのインストール
まずは、VMwareのこちらのページからVMware vCenter Converter Standaloneをダウンロードを行います。
VMware vCenter Converter Standaloneのバージョンは一番新しいもので構いません。
exeファイルがダウンロードできたらそちらを実行してインストールを行います。
P2V実行
VMware vCenter Converter Standaloneを立ち上げ、Convert machineをクリックします。
※VMware vCenter Converter Standaloneを動かそうとしているPCがプロキシ配下にある場合、立ち上がらないため、プロキシがないネットワーク上で行ってください。
今回は、P2VですのでSelect source typeは、Powered onを選択し、その下のセレクトボックスは以下によって使い分けます。
- Remote Windows machine:VMware vCenter Converter Standaloneがインストールされている端末とは別のWindowsサーバー(もしくはPC)をP2Vする場合。
- Remote Linux machine:リモートのLinux系サーバーをP2Vする場合。
- This local machine:VMware vCenter Converter StandaloneがインストールされているWindows端末をP2Vする場合。
ここではRemote Linux machineを選択したとします。
Specify the powered on machineに該当LinuxサーバーのSSH接続情報を入力し、Nextをクリックします。
※rootユーザーじゃないとエラーになってしまいますので対象のLinuxサーバーにrootでSSH接続できるようにしておき、rootの情報を入力します。
セキュリティの警告が出ますのでイエスをクリックします。
移設先のESXiのIPアドレス(もしくはサーバー名)、vSphere Clientに接続するのと同様のユーザー名、パスワードを入力します。
移設先を確認し、Nextをクリックします。
移設先のESXiにDatastoreが複数あれば選択し、VMのバージョンを選択し、Nextをクリックします。
VMのバージョンは特にこだわりがなければ最新のバージョンで良いでしょう。
移設する際の構成を設定します。
基本的には移設後に設定変更できるため、そのままでも良いのですが、仮想ディスクのタイプを変更したければここで設定します。
ここでの注意は、構成の一番下にあるHelper VM networkをきちんと設定しなければならないということです。
ここでVMware vCenter Converter Standaloneが動作しているWindowsマシンに繋がるIPアドレスなどを設定しておきましょう。
設定しない場合、変換が1%で止まってしまってうまくいきません。
設定後、Nextをクリックします。
最終確認をしてFinishをクリックするとするとP2Vが始まります。
ステータスがCompleteになるまで待ちます。
VMの起動
P2Vが完了しても移行元の物理サーバーの電源は落ちていませんのですぐにVMを起動する場合は、シャットダウンしておきます。
そこまで終わりましたら、先日お伝えしたこちらの「ESXiの仮想サーバー移設方法を画像付きで解説!」内の「5. アップロードしたイメージをESXiに登録し、VMを起動します。」と同様の操作になりますのでこちらをご覧ください。
注意点
簡単にP2V可能なVMware vCenter Converter Standaloneですが、途中で書きました注意点を知らないと意外とハマってしまいますのでもう一度お伝えします。
VMware vCenter Converter Standalone操作時の注意点
- VMware vCenter Converter Standaloneを動かそうとしているWindowsはプロキシ配下に置かない。
- 移設するサーバーがLinuxサーバーの場合、rootユーザーでSSH接続できるようにしておき、rootユーザーの情報を入力する。
- 構成設定時の一番下にあるHelper VM networkの設定する。
これらを守ればよっぽど失敗することはないと思います。
最後に
今回は、VMware vCenter Converter StandaloneをP2Vのためのツールとしてご紹介しましたが、V2V(VMからVMへの移行)も行うことができます。
ESXi同士のVMのバージョンの変換もできますし、例えばHyper-V上の仮想マシンをESXiへ変換することもできます。
その場合、VMの電源ONのままであれば今回と同じ手順で行うこともできますし、VMの電源を落として最初のSelect source typeでPowered offを選択し、プルダウンでHyper-V Serverを選択することで行うことができます。
こんな便利なVMware vCenter Converter Standaloneを活用してスムーズにP2Vを実現しましょう。
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